乗馬を始めて間もない方、もっともっとスキルアップしたい方、色々いらっしゃると思いますが、実際に馬に乗ることと同じくらい大事である「馬のお手入れ」。
今回は、初めて馬に乗る人も教えられるであろう「裏掘り」について、基本と注意点をお伝えしたいと思います。
裏ほり「基本のき」
まずは裏掘りの基本から、復習してみましょう。
基本的な方法としては、
1.馬の左側に立ち、馬と平行にかがむ。
2.左側の足は、馬に寄りかかって体重をかけることが足を上げる合図
3.右側の足は、馬の膝(飛節)と球節の間あたりを持ち、自分の方に引っ張るのが、足を上げる合図
通常、馬たちはよく調教されているので、賢い子は触るだけでも上げてくれます。
私は馬とのコミュニケーションとして、毎回裏掘りが終わったら、必ず愛撫して感謝を伝えるようにしています。毎日の当たり前の習慣ですが、一つ一つ感謝を伝えること、人間関係でも大事ですよね。もちろん、馬も褒められて悪い気はしません。
いつも小さなことでも感謝を伝えてくれる人、何も反応無い人、あなたならどちらのほうが良好な関係を築けそうですか?
裏ほりトラブルあるある
裏掘りをするうえで、大きく2つのトラブルが考えられます。
1.馬が足を上げてくれない
体重をかけてもなかなか上げてくれない馬、たまにいますね。まず、以下のことも考えられるので、馬のことをよく観察してください。
1.反対側の足を痛めているため、体重がかけられない。
2.馬の経験が浅く、まだ裏掘りを十分に理解していない。
3.虫が多い時期、虫に気を取られている。
特段上記のような理由がなく、馬に体重をかけても合図しても上げてくれない場合は、私だったらまず違う足から先にしてみます。
もし何も理由なくどうやっても馬が足を上げない場合は、一度馬の目を見て「上げなさい」と、目で訴えて見てください。あまりいきなり叩いたりして叱るのは、馬との関係性がかえって悪くなる可能性があるので、お勧めできません。目を睨んで「ダメ」と少し低い声で伝えたら、それだけで馬は十分分かります。それでも上げられなかったら、それは馬の調教に問題があるかもしれません、遠慮なく周りのスタッフさんに助けを求めましょう。
2.馬がすぐに足を下ろそうとする
これも良くありますね。
こちらも考えられる理由としては、1.と同じです。
若い馬であれば、3本足でバランスを取るのに慣れておらず、すぐ下ろしたがったりします。したがって、馬が足を上げやすい位置で持ってあげることは大事です。
以下の図を見てください。よく見かけるのが、馬の球節(☓印のところ)をもっているところ。これだと持つ人も重いし、馬もここを持たれるとバランス取り辛いです。
正解は、蹄冠(◯印)を持って、前足であれば図のように、せめて前膝の高さあたりまで持ち上げましょう。そしたら馬が少々抵抗しても、持っておくことができます。
後ろ足はここまで上げる必要ないですが、たまに地面すれすれで掘ってるひといますが、さぞ重たくて腰が砕けそうになると思います。(もしくは馬のほうがしんどい思いをしているか)せめて20cmくらいは持ち上げましょうね。
これはダメ!危険な裏ほり
見ていて「危険だな」と思う裏掘りは、主に2パターン。共に前足の裏掘り中後ろ足が当たってしまうリスク高です。
1.馬に対して斜めに立ち、馬のお腹の下に頭が入ってしまう
→裏掘り中、馬が後ろ足を上げたら確実に頭を蹴られます。
結構良く見るのですが、危ないです!あくまで馬と平行に立ってかがむのがセオリー。
2.蹄を覗き込んで、頭が低い位置に来る。
→虫のいる時期なんかは、馬は虫を払うのに回し蹴りも繰り出します。頭の位置は低いほど、馬の後ろ足が当たってしまうリスクが上がります。よほど柔らかい馬でない限り、足を高い位置で持ち上げなから回し蹴りできる子は少ないので、ある程度蹄と距離を取って裏掘りしておくと安心です。
先程のコツのようにしっかり馬の蹄冠を持って高い位置で持ち、あまり覗き込まず掘ってあげるようにしてください。
まとめ
いかがでしたか。裏掘りは馬の手入れの中で基本中の基本ですが、とっても奥が深いし、事故が起こるリスクのある危険な作業なので、十分注意して、慎重に行わなければいけません。
これだけで、すぐに上げてくれる馬、上げ渋る馬、特定の足だけ上げにくい馬、上げるけどすぐ下ろそうとする馬・・・いろんな性格の馬がいるものだと感心することでしょう(笑)
今回は「なぜ裏掘りをするのか」は解説しませんでしたが、馬の蹄、足の健康のために非常に大切なお手入れです。ぜひ、どんな馬でも気持ちよく裏掘りできるよう、経験を積んでいきましょう。